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自分で書いたのにAIを疑われる理由 — 誤検出を招く文章の癖

人が書いた文章でもAI作成の疑いが高く出ることには理由があります。誤検出を招きやすい文章の癖と文書の種類を整理し、不当に疑われないために何を準備しておけばよいかを説明します。


「全部自分で書いたのに、90%と出ました。」

この一文は本当によく見かけます。そして多くの場合、嘘ではありません。人が書いた文章がAI作成の疑いありと分類されることは実際によく起こりますし、そこには構造的な理由があります。

この記事では、なぜそれが起きるのか、どんな文章で特に起きやすいのか、そして納得のいかない状況に置かれたときに何を準備しておけばよいのかを、順番に見ていきます。

判定ツールが実際に見ているもの

前提をひとつ整理しておきます。AI判定ツールは文章の出どころを知っているわけではありません。 次に来る語がどれくらい予測しやすいか、一文ごとの長さや表現にどれくらいばらつきがあるか——そうした文体の統計的な特徴を見ています。

ここから問題がすぐに出てきます。「予測しやすく、そろった文」を書くのはAIだけではありません。訓練された書き手も同じように書きます。 むしろ訓練されているほどそうなります。

誤検出が出やすい文章の種類

経験的に、次のような文章で疑いスコアが高く出ます。

1. 形式が決まっている文書

  • 箇条書き中心の報告書、定型フォーマットの調査書
  • 社内文書、事業計画書、企画提案書
  • 書式が指定された学術論文の要旨

形式が文の構造を強制するため、ばらつきが減ります。きちんと書けているほどそうなります。様式を正確に守った文章のほうが機械的に読める、という逆説が起きます。

2. 何度も推敲した文章

推敲を繰り返すとどうなるでしょうか。ぎこちない表現が消え、一文の長さがそろい、誤字がなくなります。これはまさにAIの文体の特徴です。

手をかけて直した文章が、雑に書いた文章より高いスコアになることが実際に起こります。誤検出のいちばん皮肉な点です。

3. 表記・文法の校正ツールを通した文章

最近の校正ツールは誤字を直すだけではありません。文の構造を変え、ぎこちない表現を置き換え、ときには一文をまるごと書き直します。その過程で、個人の文体の特徴が削られていきます。

4. 翻訳を経た文章

外国語で書いて訳したもの、あるいは翻訳調に慣れた文章は特にそうです。翻訳結果は原文の構造をなぞりつつ、表現は無難な側を選ぶため、均質になります。

5. 短い文章

いちばんよくある原因です。200字ほどの文章には、統計を取れるだけの文の数がありません。文が三つ四つでは、ばらつきを計算する根拠が足りず、結果が大きく揺れます。同じ文章の前半と後半を別々に入れるとスコアがまるで違う、という経験をされた方も多いはずです。

6. 日本語を母語としない方の文章、またはシンプルな文体

文を短く切り、基本的な語彙を中心に書く習慣は、それ自体が均質なテキストを作ります。これは能力の問題ではなく文体の問題なのですが、ツールはその二つを区別できません。

個人の癖から来る誤検出

文章の種類とは別に、個人の癖も影響します。

なぜ誤検出を招くのか
いつも同じくらいの長さで文を切るばらつきが消える
接続詞を規則的に使う(「また」「したがって」で段落を始める)展開が予測しやすくなる
箇条書きの書き方が体に染みついている記述式の文章でも均質になる
感情表現や個人的なエピソードをあまり入れない人が書いた文章の信号が弱くなる
段落ごとに結論を先に置いて整理する構造が反復する

最後の二つが重要です。文章を論理的にうまく書ける人ほど、この癖を持っています。ですから誤検出は、文章が苦手な人よりも上手な人にこそ起こりやすいのです。

では、どうすればいいのか

疑われる前に:過程を残しておく

これがいちばん確実です。成果物だけでは証明のしようがありませんが、過程が残っていれば説明ができます。

  • 初稿を別に保存しておく(ファイル名に日付を入れる)
  • クラウド上の文書で書いて変更履歴を残す
  • 参考資料のリンクとメモを一つのファイルにまとめておく
  • 手書きのアウトラインがあれば写真で保管する

文書ツールの変更履歴は特に強力です。何時間もかけて文が増え、消され、並べ替えられた痕跡は、作り出すのが難しいからです。

すでに疑われてしまったら

  1. スコアで反論しないでください。 別のツールを回して低いスコアを持っていくのは、ほとんど効果がありません。ツールによって結果が違うという事実を確認させるだけです。
  2. 過程を見せてください。 初稿、修正履歴、メモ。
  3. 内容で説明してください。 「この部分をなぜこう書いたのか」を説明できれば、たいていは収まります。実際、人がいちばん信頼する検証はこれです。
  4. 感情的に応じないでください。 納得がいかないのは当然ですが、確認する側も規程に沿って動いていることが多いものです。

提出前に確かめておきたいなら

提出前にAI判定ツールに一度通してみるのは、回避ではなく予測です。どの段落がそう読まれるのかを先に知っておけば、質問が来たときに何を説明すればよいかを準備できます。

注意点はひとつだけです。スコアを下げることに固執しないでください。 表示された文を無理にぎこちなく変えると文章の質が落ち、肝心の評価で損をします。表示された箇所を開いて「ここに自分の判断と具体的な事実があるか」を確かめる、くらいがちょうどよい労力です。空なら埋め、あるのに表示されているならそのままで構いません。

最後に

AI判定の結果は判定ではなく、参考のためのAI作成の疑いです。どんなツールも「この文章はAIが書いた」を証明できませんし、だからこそそのスコアだけで人を処分するのは危険です。これは判定ツールを作る側も同じ立場でいるべきだと考えています。

関連してよく出る質問はよくある質問にもまとめてあります。

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